胆道がんの治療に関わる医師(名前をクリックするとプロフィールが見れます)


福岡大学消化器外科における胆道がん治療の特徴
  • 胆道は肝臓でつくられた胆汁を十二指腸に流す管です.
  • 胆道がんはその解剖学的な位置により、肝門部領域胆管がん遠位胆管がん胆嚢がん十二指腸乳頭部がんなどがあります.
  • 胆道がんにより胆道が閉塞すると胆汁の行き場がなくなり、皮膚や白目の部分が黄色になる「黄疸」と呼ばれる症状が生じます.
  • 黄疸は他の原因でも生じるので、胆道がんが原因で起こる黄疸(閉塞性黄疸)を早急に診断することが重要です.


  • 当科の胆道がんの治療の特徴としては「診断から治療まで当科にて行う」ことで、それにより複雑な胆道がんの治療をできるだけ早急に行えるように心がけています。
  • また、外科医目線による手術に必要な正確な癌の進展度診断によって、適切な術式を選択し、正確で安全な手術を行うことができます。 
  • 当科受診時に根治切除が困難な患者さんに対しても、治療をあきらめることなく化学療法放射線治療を併用しベストな治療を心がけています。

胆道がんの手術
  • 胆道は肝臓から十二指腸 をつないでいる管ですので、胆道がんの位置により肝臓の切除術から膵頭十二指腸切除術に至るまで、多彩で複雑な術式の選択が必要になります.
  • 病変の進行度や範囲によっても術式は大きく変わるため、手術前のがんの正確な診断が必要になります。特に進行がんでは大きな手術が必要になる場合が多いです.
  • 私たちは自ら検査を行うことにより正確な術前診断を得、できるだけ患者さんに優しい治療を行えるように努めています.

比較的肝臓に近い所に'がん'ができた場合(肝門部胆管がん)

 

  • 肝臓の中の胆管は木の枝のように分岐していますが、肝臓の中の胆管へのがんの進展の範囲と程度により、肝切除を行う範囲が決定されます.
  • 広い範囲の肝切除が必要になる場合には、残った肝臓の分量が少なくなり体がやっていけなくなる(肝不全と言います)ので、そのような場合には手術前に切除予定の肝臓の血流を遮断することにより残る予定の肝臓を肥大させる治療(門脈塞栓術)を行うこともあります。

肝門部領域胆管がんに対する手術

肝臓の中の胆管へのがんの浸潤の範囲により肝切除の範囲が決まってきます。胆管の走行は複雑なので、がんの進み具合をしっかりと評価する必要があり、がんを切除したあとに胆汁の流れ道を作ってあげる必要があります。私たちは正確な診断により過不足のない手術を心がけています。



右側の胆管よりにがんができた場合

左側の胆管よりにがんができた場合



術前門脈塞栓術

残せる肝臓が小さく手術が困難と考えられる場合でも、肝臓の一部の血管を詰める事により残りの肝臓を肥大させて手術が行えるようになることがあります。

 

私達も積極的に行っています。



十二指腸の近くにがんができた場合(遠位胆管がんあるいは乳頭部がん)

 

  • 遠位胆管癌や十二指腸乳頭部癌など腫瘍が中部胆管~下部胆管に位置するものに対しては、膵臓と十二指腸を一緒に切除するという膵癌の手術と同じような手術になります。
  • この手術は消化器外科手術の中でも比較的大きく、合併症の起こりやすい手術です。当科では本術式に関して豊富な経験のある術者が手術を行っております。


胆嚢にがんができた場合(胆嚢がん)

 

  • 胆嚢に腫瘤ができた場合、それが良性のポリープか胆嚢がんかを見分けるのが重要です。CT、MRI、EUS(超音波内視鏡)などの方法で精査を行います。
  • 胆嚢がんが疑われた場合には、腫瘍の位置や進行度、進展範囲によって以下の手術を選択します。
    1. 胆嚢だけ切除する。
    2. 胆嚢と胆管、リンパ節を切除
    3. 肝臓の部分切除+リンパ節切除
    4. 肝臓の右半分切除+リンパ節切除
  • 術式によって患者さんの負担は大きく異るので、できるだけ正確な診断を行うことが重要になります。


  1. 胆嚢は総胆管に胆嚢管でつながっており、裏側は肝臓に付着しています。解剖学的な複雑さにより、胆嚢癌の発生部位によって手術術式が大きく変わります。
  2. 胆嚢は胃や大腸などの臓器と比べて壁が薄いために進行しやすいという特徴があります。胆嚢頚部寄りの腫瘍は総胆管に進展しやすく、総胆管の切除も必要になります。また、進行癌や肝浸潤をきたしている場合には、肝切除まで必要になります。腫瘍の部位や進展度に応じて術式を考えます(下図)
  3. 胆嚢癌はリンパ節転移もきたしやすいため、進行度に応じてリンパ節郭清まで行う必要があります。