胆石の治療に関わる医師(名前をクリックするとプロフィールが見れます)

胆石症とは
  • 肝臓で作られた胆汁が通る管を胆管と言いますが、この胆管の中にできる結石を胆石と言います。結石があるだけでは症状が無いことも多いのですが、結石が胆管を閉塞したり、胆汁の流れが悪くなったりして細菌がついたりすると胆嚢炎胆管炎を起こし、発熱、腹痛、黄疸などの症状を呈するようになります。
  • 一般的には胆嚢内にできたものを胆嚢結石(または単に胆石)、総胆管にあるものは総胆管結石、肝内にあるものを肝内結石といいます。
  • レントゲンやCTではわからない結石もあるため、超音波検査やMRI検査なども有用な検査となります。


福岡大学消化器外科における胆石症治療の特徴

胆石症、急性胆嚢炎

 

  • 胆石があっても症状のない方も多くおられます。
  • 症状としては、胆嚢の出口に結石が引っかかる(嵌頓:かんとん)ことによる胆石発作と呼ばれる腹痛が最も一般的です。食後にみぞおちや右上腹部に強い痛みや違和感が起こることが多いです。
  • また、胆嚢の中で細菌が繁殖すると、急性胆嚢炎となり、胆嚢内に膿がたまり、発熱や炎症反応上昇が見られます。
  • 炎症が軽度の場合には鎮痛剤あるいは抗生物質の治療で良くなることもありますが、ひどくなると胆嚢を摘出することが必要になりますが、炎症があまりひどい状況で手術をすると解剖がわかりにくく合併症を起こしやすいため、胆嚢内の膿を針で外に出して、炎症を治めてから手術を行う場合もあります。

総胆管結石、急性胆管炎

 

  • 総胆管に結石がある病気です。胆嚢結石が胆管に落ちる場合と、総胆管に初めから結石ができる場合があります.
  • 結石が胆管を塞いでしまう(陥頓)場合には、細菌が繁殖して急性胆管炎となり、黄疸や発熱が出現します。胆管の十二指腸への出口(乳頭部)に陥頓した場合には急性膵炎を併発することもあります。いずれも重症化すると命にかかわることがあります。
  • それ故に、総胆管結石は無症状でも治療の対象となることが多いです。
  • 治療にはカメラによる内視鏡治療が主に用いられますが、石が大きかったり、難しかったりする場合には手術が必要になる場合もあります。

肝内結石症

 

  • 頻度は少ないですが、肝臓の中の胆管に結石を生じる病気です。
  • 胆道拡張症や胆管の走行異常、胆管狭窄、胆道再建術後などもともと胆道に異常があったり操作が加わっている方に、胆管炎などの感染などを契機にして結石が形成されることが多いです。
  • 長期的にみると発癌のリスク(5~12%)になるといわれているので、症状がなくても経過観察する必要があり、場合によっては肝切除を行ったほうが良い方もおられます(結石が多発し、肝臓が委縮しているような方)。
  • 当科では患者さんの負担を考え、可能な限り内視鏡治療を行い、状況に応じて肝切除を検討します(下図参照)。

胆石症に対する内視鏡治療
  • 胆道結石は良性の疾患ですので、その治療はできるだけ患者さんの負担の少ない方法が推奨されます。胆石症に対する内視鏡治療は患者さんの負担の少ない治療ですが、比較的技術的に難しい手技です。当科では経験豊富な外科医が胆石症に対する内視鏡治療を行っております。

経皮経肝胆道ドレナージ・切石術

口から内視鏡を挿入して十二指腸乳頭部(胆管の出口)を切開します。胆管にカテーテルを挿入し、胆管内の結石を除去する方法です。

胆管内に"うみ"が溜まっている場合には、その"うみ"を出して上げる処置(ドレナージ)を行います。



経皮経肝胆道ドレナージ・切石術

お腹の皮膚に小さな穴を開けてそこから肝臓の中の胆管までカメラを挿入し、肝臓内の結石を除去する方法です。小さな傷で患者さんの負担が軽くて済みます。


腹腔鏡下胆嚢摘出術
  • 胆石症に対する腹腔鏡手術は広く行われていますが、当科でもほとんどの症例で腹腔鏡下手術を行っています。
  • 小さな穴を4か所にあけて行う手術を基本にしていますが、胆嚢炎の程度などに応じて、おへその傷の1箇所のみで手術を行ったり、ポートの数を減らしたり傷の大きさを減じたりして患者さんの負担を減らす試みをしています。
  • 術前や術後の検査で、胆嚢から落下した総胆管結石が見つかることがあり、その場合、上記のように内視鏡治療が必要になりますが、当科では内視鏡治療も行っていますので迅速かつ効率よく、できる限り患者さんの希望に沿ったタイミングで治療を行うことが可能です。
  • 高度の炎症で胆嚢が破けて腹膜炎を起こした方など緊急手術が必要です。当科では、夜間でも積極的に緊急手術を行っています。